北海道の橋梁伸縮装置について

橋の伸縮装置（ジョイント周り）は、車の重さを直接支えるため、劣化や損傷を受けやすい部分です。
特に積雪寒冷地では、凍結防止剤の散布により塩化物を多量に含むため、鋼桁端部や支承の腐食を引き起こし、下部工コンクリートの劣化損傷につながります。
こうした問題に対処するため、近年では伸縮装置の交換工事が増えています。
将来のコストを削減するためには、耐久性・耐荷性・防水性に優れた設計や施工が求められています。

耐圧防水樹脂 Jellafin（ジェラフィン）を用いた
橋梁伸縮装置の防水補修作業

深海で使われる電子機器の耐圧防水用として開発された二液混合式ウレタン樹脂のジェラフィンは、海中での豊富な利用実績から塩分や硫化水素への耐候性があるため、海岸や温泉近辺に設置された橋梁伸縮装置の防水には特に高い効果が期待できます。 
また、使用するジェラフィンは環境に優しい材料であり、施工時や使用後の環境負荷を最小限に抑えることが可能なほか、熟練工を必要とせず比較的容易に施工でき、迅速に作業を完了させることができるため、工期の短縮とコスト削減を実現できます。

従来の橋梁伸縮装置の防水補修作業

事前準備：数ヶ月

一般的な当日の作業内容

既設伸縮装置撤去
新設伸縮装置設置
コンクリート打設から養生

伸縮装置の取り替え作業には、技術者・作業員・作業内容に応じた、機材や重機が必要となります。
コンクリートが完全に固まるまで、最低でも3時間はかかります。
これまでの伸縮装置の取り替えでは、作業時間が掛かっていることが分かります。
寿命は、ゴム製の伸縮装置であれば15年、鋼製の伸縮装置であれば30年～40年程度が目安となります。

ジェラフィンによる橋梁伸縮装置の防水補修作業

事前準備：確認と掃除に数日

当日の作業内容

掃き掃除・マスキングテープ貼付
ジェラフィンの混合・撹拌
樹脂充填
検査
路面清掃

一方のジェラフィンは、樹脂材の主剤と硬化剤、ジェラフィンフレークをそれぞれ同量混合・撹拌して注入するだけなので、専門的な技術者や作業員の減員、既存装置の撤去不要ため大幅なランニングコスト削減が期待できます。
またジェラフィンは硬化後、弾力性に優れた樹脂状となり伸縮装置に密着して止水機能を効果的に発揮します。寿命は、耐久性能試験で耐用年数30年相当の引張圧縮繰り返し試験をクリアしており、従来の取り替え作業同等の延命措置を取ることができます。